「ZINE(ジン)を作ってみたいけれど、普通のコピー機やオンデマンド印刷では出せない特別な風合いを楽しみたい」
「昔の海外雑誌や絵本のような、 レトロで温もりのある手触り を表現したい!」と考えていませんか?
用紙や印刷手法、製本仕様まで自分自身の美学を追求できるのがZINE作りの魅力です。その中でもクリエイターから熱狂的な支持を集めるのが、大阪発の孔版印刷工房 「レトロ印刷JAM」 です。
一般的なデジタル印刷が「均一でズレのない正確さ」を追求するのに対し、レトロ印刷JAMのリソグラフ(孔版印刷)は、あえて 「版ズレ・かすれ・混色・インク落ち」 といったアナログ特有の偶発性を楽しむ印刷スタイル。1部ごとに表情が微妙に異なるため、刷り上がったZINEはすべてが 「世界に1冊だけのアートピース」 になります。
この記事では、レトロ印刷JAMの魅力やリソグラフの仕組み、選べる個性派ペーパーと製本オプション、多色刷りデータ作成ルール、半乾燥インクの注意点まで徹底解説します!
【この記事のポイント(レトロ印刷ZINE作りの要点)】
- リソグラフ特有の風合い: ドラムで1色ずつ重ね刷りするため「版ズレ」「かすれ」「混色」が生まれ、木版画のような温かい風合いが宿る
- 鮮烈な特色インク: 蛍光ピンクや金・銀・白など、CMYK印刷では再現できない発色が可能
- 豊富なレトロ用紙: 富士わら紙やクラフト紙など、インク吸いが良く手触り豊かな用紙が勢揃い
- 名物「ミシン綴じ」: 本の背を色糸で縫製するミシン綴じなど、手作業の温かみが感じられる製本が選べる
- データ作成の鉄則: 「1色=1版(グレースケールK 0〜100%)」で版を分けて入稿する
レトロ印刷JAMとは?なぜZINE作家にこれほど愛されるのか
「レトロ印刷JAM」 は、大阪市北区中津に拠点を置く孔版印刷(リソグラフ)とシルクスクリーンの専門店です。Web通販による全国発送に加え、自分で印刷作業を体験できるオープンスタジオも展開し、国内外のZINEクリエイターから愛されています。
一般的な印刷方式とレトロ印刷(リソグラフ)の主な違いは以下の通りです。
| 印刷方式 | 印刷の仕組み | 仕上がりの特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| オンデマンド印刷 | 粉末トナーをレーザー熱で定着 | 均一で高精細。表面にわずかなテカリが出る | 写真集、ビジネス冊子、1部からの格安印刷 |
| オフセット印刷 | 金属刷版からブランケットを介して転写 | 極めて精細で文字がシャープ。大部数ほど安価 | 商業書籍、雑誌、100部以上の大部数ZINE |
| レトロ印刷(リソグラフ) | 孔(あな)を開けた版からインクを直接押し出す | 紙にインクが染み込むマットな質感。ズレやかすれが出る | アートZINE、イラスト集、詩集、コミック本 |
写真や文字を均一再現したい場合はオンデマンド印刷が適していますが、 「本そのものにアナログな温もりや存在感を持たせたい」 場合、レトロ印刷JAMは最高の選択肢となります。
※ ZINE向け印刷所の総合比較や選び方については、こちらの記事 【少部数・1部からOK】ZINE印刷におすすめのネット印刷所・印刷サービス比較7選 でも詳しく解説しています。
孔版印刷(リソグラフ)ならではのインクの温もりと発色
レトロ印刷のベースとなる 「孔版印刷(こうはんいんさつ)」 は、学校のプリント印刷機(リソグラフ)と同じ仕組みです。デジタルデータからマスターフィルムへ熱で微細な孔を開け、円筒状のドラムから紙へインクを押し出して刷り上げます。
- インクが染み込むマットな質感: デジタル印刷と異なり、植物油ベースの半乾燥性インクが紙の繊維へ染み込みます。テカリのない、しっとり優しい手触りになります。
- 濁りのない特色カラー: CMYK4色の掛け合わせではなく、 「調合済みの単色インク(特色)」 をダイレクトに乗せるため、ピュアで鮮やかな発色が楽しめます。
「ズレる・かすれる・混ざる」が唯一無二の味になる
商業印刷ではミスとされる現象も、レトロ印刷では 「愛すべき作品の個性」 です。
- ズレる(版ズレ): 多色刷りでは1色ごとに紙を通すため必ず数ミリのズレが生じます。この揺らぎがビンテージポスターのような懐かしい空気感を生みます。
- かすれる(インクのかすれ): ベタ塗り部分に自然なかすれや濃淡が現れ、木版画やステンシルのような手仕事の温もりを与えます。
- 混ざる(インクの混色): インクに透明感があるため、色が重なった部分に 「新しい掛け合わせ色」 が生まれます(黄×青=緑、蛍光ピンク×黄=オレンジなど)。偶然の混色を計算するのも醍醐味です。
レトロ印刷で作れるZINEの仕様と製本オプション
レトロ印刷JAMでは、ペラ印刷だけでなく多彩な 「小冊子・ZINE制作メニュー」 が用意されています。
ミシン綴じ・中綴じ・折本など選べる製本
- 1. ミシン綴じ(Thread Sewing): JAMの名物オプション。二つ折りにした冊子の背を工業用ミシンで1冊ずつ縫製します。赤・青・白・黄・蛍光ピンクなど多彩な糸色が選べ、中央のステッチが抜群の可愛らしさです。
- 2. ホッチキス中綴じ(Saddle Stitching): 背の中央を金属の針金で留める定番製本。見開きがフラットに開きやすく、8〜32ページ前後のZINEに最適です。
- 3. 折本(Folded booklet): 針金や糊を使わず、1枚の紙に切り込みを入れて折る小冊子。広げるとポスターになるなど自由なギミックが作れます。
※ ZINEのサイズや綴じ方の基本は 【保存版】ZINEのサイズ・ページ数・綴じ方まとめ|A5・B6・変形サイズと製本仕様の選び方 を、折本の手法は コンビニコピー機とホッチキスで作る「豆ZINE・折本」の作り方|1枚の紙から作る小冊子 をご覧ください。
わら半紙・クラフト紙など個性派ペーパーのラインナップ
レトロ印刷JAMの用紙は、リソグラフインクと相性の良い 「ざらっとした素朴なレトロ紙」 ばかりです。
| 用紙名 | 特徴・色味 | おすすめのZINEスタイル |
|---|---|---|
| 富士わら紙 | グレーがかった素朴なわら半紙。最もレトロ感が強い定番紙 | 詩集、短歌集、日記ZINE、イラスト集 |
| クラフト紙(未晒) | 段ボールのような温かい茶色。しっかりとした厚みと素朴な質感 | アウトドアZINE、カフェ巡り、アメカジ系 |
| ポッポ紙 | 漂白されていない優しい生成り色。厚みがあり柔らかく手になじむ | 絵本風ZINE、エッセイ集、作品集 |
| クーヘン | お菓子の焼き目のような暖色系ペーパー。上質な質感 | 料理レシピZINE、旅エッセイ、ライフスタイル誌 |
| ザラ紙(更紙) | 週刊少年誌の本文のような薄くて軽いグレーの紙 | コミックZINE、サブカル誌、フライヤー折本 |
表紙に厚手のクラフト紙を選び、本文にはめくりやすい富士わら紙を合わせるなど、手触りのコントラストを楽しむ組み合わせが人気です。
※ 紙の厚さ(kg)や本文・表紙のベストな選び方は、解説記事 ZINEの印象が変わる!紙選びの基本知識|クラフト紙・コミック紙・ファンシーペーパー で詳しくご紹介しています。
蛍光インクや金・銀・白インクの活用
レトロ印刷JAMの大きな強みが、 「30種類以上におよぶ豊富な特色インク」 です。
- まばゆい「蛍光インク」: 蛍光ピンク、蛍光オレンジ、蛍光イエローなど。画面のRGBカラーに近い鮮烈なネオンカラーが紙に乗ります。黒との2色刷りにするだけで洗練された誌面が完成します。
- 渋く輝く「金・銀インク」: 上品な金属粉のマットな輝きを持つゴールドとシルバー。ギラつかない落ち着いたアンティーク調の装丁が作れます。
- 濃色紙に映える「白インク」: 茶色のクラフト紙や黒の色上質紙に白インクで刷ることで、チョークアートのようなコントラストを描き出せます。
レトロ印刷のデータ作成ルールと注意点
レトロ印刷は独特の味わいを持つ反面、 「デジタル印刷とは入稿データの作り方が全く異なる」 点に注意が必要です。注文前に知っておくべき3つのルールを解説します。
多色刷りは「版ごとにグレースケールで作成」する
フルカラー(CMYK)印刷とは異なり、レトロ印刷では 「1色=1版(グレースケールデータ)」 で版分けしてデータを作成します。
- データの基本: すべて「モノクロ(K値 0〜100%)」で作成します。K100%が「最もインクが濃く乗る部分」、K50%が「網点で薄く乗る部分」、K0%が「印刷されない部分(紙の地)」です。
- 多色刷りのデータ構成: たとえば「蛍光レッド」と「紺」の2色刷りの場合、 「表紙_赤版.pdf」 と 「表紙_紺版.pdf」 という2つのグレースケールファイルを用意し、発注画面で「赤版には蛍光レッド、紺版には紺インク」と指定します。
- トンボと共通サイズ: 各版の印刷位置がずれないよう、全版に共通の「トンボ」または同一サイズのアートボードを設定し、外側に3mmの塗り足しを確保しましょう。
※ トンボや塗り足し、解像度設定の基本ルールは 入稿データ作成の基礎知識|ノンブル・トンボ・塗り足し・解像度をわかりやすく解説 をご確認ください。
インクの色移り(半乾燥インク)への理解と対策
レトロ印刷で必ず理解しておくべきなのが 「半乾燥インクの性質」 です。
リソグラフインクは紙に染み込むことで定着するため、完全に乾いた後でも 「強く擦ると指や対向ページにインクが色移り(インク落ち)」 します。新聞紙を読んだ時に手が黒くなる現象と同様です。実践的な対策は以下の通りです。
- 広大なベタ塗りを避ける: ベタ塗り(K100%)の面積が大きいと色移りの原因になります。背景はトーン(K30〜50%)や線画に抑えましょう。
- 見開き対向ページの配置に配慮する: 濃いイラストの向かい側に細かい文章を配置すると、擦れ合って文字が読みづらくなるリスクがあります。ベタの向かいには余白を確保するのがコツです。
- 表紙にカバーをかける: 表紙のインク移りを防ぐため、トレーシングペーパーのブックカバーを巻く手法が人気です。透ける質感がおしゃれさを引き立てます。
- 奥付に注意書きを添える: 「※ 本書は半乾燥インクを使用しているため摩擦により色移りする場合があります」と一言添えておくと、読者にも心地よく伝わります。
写真を印刷する時の網点(ハーフトーン)設定
「レトロ印刷で写真を印刷したい」という場合、一般的なフルカラー写真とは異なり、 「昔の新聞やアート写真のようなノスタルジックな単色写真」 として味のある表現が可能です。綺麗に仕上げるポイントは以下の2点です。
- コントラストを強めに補正する: 中間トーンが沈みやすいため、画像編集ソフトでハイライトを明るく、シャドウを引き締めてメリハリを強調しておきます。
- 網点(ハーフトーン)の粗さを活かす: 写真の階調は微細な網点(ドット)で表現されます。あえて粗めのドット(低線数)に設定することで、ポップアートのような力強いビジュアルが楽しめます。
大阪の店舗(JAM)やワークスペースの楽しみ方
レトロ印刷JAMの魅力は、Web通販だけにとどまりません。大阪市北区中津にある実店舗には、クリエイターの心をくすぐる空間が広がっています。
自分で刷れる「SURIMACCA(スリマッカ)」体験
大阪の実店舗には 「JAM ワークスペース」 が併設されています。
- リソグラフのセルフ印刷: 自分でリソグラフ機を操作し、ドラムを入れ替えて1枚ずつ刷り進める体験ができます。ズレ具合を確かめながら微調整できるのが魅力です。
- シルクスクリーンキット「SURIMACCA(スリマッカ)」: JAMが独自開発したブロック式シルクスクリーンツールを使い、ZINEの表紙や布バッグに手刷り印刷が楽しめます。
- 見本コーナー&端材バイキング: 膨大な用紙サンプルを手に取って確認できるほか、印刷で出た紙の端材を格安で詰め合わせできるバイキングも人気です。
遠方の方でも、公式サイトの 「JAMおまかせ印刷」 を利用すれば、Web上で仕様を選びデータを入稿すれば全国から手軽に注文できます。
まとめ:手作業の温かみが宿る、宝物のような1冊を作ろう
ざらっとした紙の感触、1冊ごとに異なるインクのズレや香りは、読む人の心に深く残ります。
レトロ印刷JAMでのZINE作りは、 「思い通りにいかない偶然を楽しむ」 という、ものづくりの原点のような喜びを教えてくれます。多少の版ズレやかすれも、すべてあなたのZINEだけの唯一無二の味わいです。
まずは10部〜20部ほどの小さな部数から、お気に入りの紙とインクを選んで、あなただけの宝物のようなZINEを刷ってみませんか?本を手にした瞬間の感動は格別です!
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